240620 金沢星稜大学/大久保 英哲 学長

2024年06月20日

週刊文春「学長インタビュー」掲載

今こそ「幻の能登半島一周駅伝」復活を目指す
「創造的復興学」の取り組み

金沢星稜大学

大久保 英哲 学長

 金沢星稜大学は1932年創設の北陸明正珠算簿記専修学校を起源に、金沢経済大学として67年に開学。2002年に現在の名称へ改称し大学院を設置した。
 建学の精神「誠実にして社会に役立つ人間の育成」をもって、同学は90年以上にわたり北陸の産業・文化の発展に寄与するとともに、広く国家社会へ貢献することを使命としてきた。

「経済というのは『経世済民』。周りや人がより良くなっていくように、地味ではありながら誠実な生き方ができる人間の心を育む。まずこの地域から良くしていくことに焦点を絞っていることが特色です」
 と話すのは、大久保英哲学長だ。こうした方向性は今、多くの企業が必要としている「人間力」に通じるところが大きい。同学は日経キャリアマガジン「価値ある大学2022‐23就職力ランキング」で小規模大学部門の総合1位にランクし、就職率99.4㌫(就職希望者656名に対し就職者652名/2023年3月卒業生実績)と全国平均より高いのだ。

 3学部6学科で構成、中でも「地域システム学科」は能登半島地震以前から準備が進められ、4月に設立された注目すべき学科だ。

「能登エリアの過疎化は深刻で、このまま震災から復旧できても、やがては限界集落になってしまう。効率よく皆が幸せに暮らしていくには何をするべきか。地元から地域に深く密着した学問を送り出す学科として、ここ10年は能登半島自身からの復興がきちんとできる人材を輩出していこうと」 
と話す大久保学長は、かつてこの地で10年間にわたって開催され、今や「幻」といわれる「能登半島一周駅伝」を5年後の開催に向けて構想している。実現すれば実に50年ぶりの復活となる。これまで「地方から発信する日本の体育・スポーツ史」の研究をライフワークにしてきた大久保学長は、今こそその意義と重要性を語る。

「今も道路が寸断され、能登半島を一周できる道路は消滅していますが、数年内には再開されることでしょう。全国の若者たちが沿道の応援と建設の槌音を聞きながら、一歩一歩能登の大地を踏みしめ、鎮魂と復興の想いを刻んでくれれば、能登半島地震の象徴的復興につながると思います」
能登半島地震によって同学では職員が1名亡くなったほか、多くの学生に重大な被害をもたらした。同学はこの4月に講座「創造的復興学」を立ち上げ、学生たちが奮起する大きなテーマとなったようだ。

 今月8,9日に同学で行われた「のと応援祭」は、完全に学生が主体となって開催。復興支援をテーマに「出張輪島朝市」など能登地区からの出店ほか人気タレントを招くなど、これまでになかったタイミングで決行され、盛況に終わった。
「大感激ですよね。企画力、コミュニケーション力、活動力、まさに金沢星稜大学の持ち味。地元の大学として、この能登を支援していくというメッセージをこれからもずっと出していきたい」(大久保学長)

【大学データ】
住所=石川県金沢市御所町丑10番地1
☎=076-253-3924
創立=1932年
学生数=2,733名
学部=経済学部、人間科学部、人文学部
https://www.seiryo-u.ac.jp

 『学長インタビュー』は全国の注目すべき大学や各種専門学校を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。

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