北海道医療大学/浅香正博 学長

2018年07月19日

週刊文春「学長インタビュー」掲載

胃がん・肺がんから学生を守ります――
斬新なプロジェクトが光る医療系総合大学の雄

北海道医療大学

浅香 正博 学長

 医療系総合大学として5学部8学科、道内で最大規模を誇る北海道医療大学。ピロリ菌研究の世界的な権威として知られ、北海道大学病院長など医療の最前線で活躍してきた浅香正博学長が、国内でも稀有な「医療大学生のためのがん予防プロジェクト」を発表。「日本のがん死亡者数第3位『胃がん』と、第1位『肺がん』から学生を守ることを使命とします」と決意を述べた。

 日本では胃がん発症の要因の約98㌫がピロリ菌であると認識されている。浅香学長は、「若いうちに除菌することで、胃がんの発症をほぼ100㌫予防できる」と話す。そこで学生たちに血液検査を実施し、菌の有無を確認。陽性者には除菌治療の推奨と、治療費補助を決定した。また、肺がん予防を目的に敷地内を全て禁煙化。喫煙率は当初の約半数5・4㌫まで低下しており、最終的には喫煙者〝0〟を目標に置く。
「私の論文から抜粋して小冊子を作成し、全学生と教職員に配付しました。医療人を目指す学生には、がんの予防の大切さに気付いて欲しいですね」(浅香学長)

 1974年の開学以来、2万人を超える卒業生を輩出。「チーム医療」で活きる高レベルな人材への評価は高く、全国の医療現場・研究所で活躍中だ。さらなる教育の充実を図るべく、従来の薬学部・歯学部・看護福祉学部・心理科学部・リハビリテーション科学部に加え、来年度から「医療技術学部[臨床検査学科]」を新設(※設置認可申請中)。病気の早期発見・治療に貢献できる人材育成を目指す。

 各学部は国家資格の合格率、及び就職率で全国有数の数字を残すのみならず、多彩で先進的な研究に取り組んでいる。特に歯学部は、口腔内細菌がもたらす全身疾患の研究で厚生労働省から助成を受け、英文論文で成果が発表される。「北海道医療大学から世界一の研究を」と浅香学長は意気込む。
「歯学部では欧州、アジア諸国との大学院生や学生の交流が盛んです。他の学部でも国内外の大学などとの交流が行われ、斬新な研究が生まれています。近年、ロシアのハバロフスクにある国立極東総合医科大学と大学間連携協定が結ばれ、親交を図っています」

 学生主体のプロジェクトも数多く存在し、数年前に始まった各学部の代表1名が協力して〝学内改革〟を行う「学生キャンパス副学長制度」が最たる例だ。
「彼らはアポイント無しで学長室に入室可能で、相談や提案を私に直接行うことができます。共に議論して、大学にとって良いことを実行していきます」(浅香学長)
 6年後の「創立50周年」に向けて、既に各学部からの意見を募集中。浅香学長が「大学の成長にはトップダウンを行う前にボトムアップが必要不可欠」と語るように、学内が一丸となって新たなステージへ飛躍を遂げようとしている。 

【大学データ(問い合わせ先)】
当別キャンパス=北海道石狩郡当別町金沢1757
☎=0133―23―1211
創立=1974年4月
学生数=3519名
学部=薬学部・歯学部・看護福祉学部・心理科学部・リハビリテーション科学部・医療技術学部(※予定)
※予定のため、変更となる場合有
http://www.hoku-iryo-u.ac.jp

 

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