2021年07月29日
週刊文春「学長インタビュー」掲載
東京女子医科大学
丸 義朗 学長
東京女子医科大学の研究力がすごい。科学雑誌『ニュートン』5月号、全国大学ランキングの理工系研究力部門で堂々の29位。私立大学では6位という刮目すべき位置を占めた。 それもそのはず、医学教育の質を評価する第三者機関、日本医学教育評価機構(JACME)から、国際評価基準に適合する世界レベルの医科大学認定を受けているのだ。 29位の研究力は臓器移植や心臓外科手術をはじめ国内トップレベルの医療を誇る、附属病院の研究成果によるところが大きい。また再生医学、動物実験などの研究施設を持ち、さらには世界レベルの教員を抱えていることも国内有数の研究力を支えている。
これだけの高評価であれば大学としては鼻高々だろうと思いきや、丸義朗学長からは意外な言葉が返ってきた。JACMEの審査項目外だが、建学の精神に則った誇るべきものが別にあるという。 「学祖・吉岡彌生先生は医療を究めるとともに、人格の陶冶を強調されました。学術だけ優れていても高い教養をもつ人格者でなければ、多様性とスピードを特徴とする現代医療に立ち向かうことはできません。本学にはそのための教育プログラムがあります」 たとえば患者からの信頼度、共鳴度を測る客観的な指標をもとに、学生同士で、あるいは担当教員が到達度を分析したりする。プログラムは6年間続く。
同校は日本で初めて、5~6人単位の学生に授業を行うテュートリアル教育を始めた大学で知られる。現在のコロナ禍ではそれが縮小され、個人とチームが問題に取り組みながら目標を達成するTBL(チーム基盤型学習)も採用されている。これらを通して、自ら問題を発見し解決する姿勢を身に付けていく。少人数制は相当数の教員が必要となるため、教員陣容は他の医科大学より概して多いという。
大学交流も盛んだ。海外においてはコロンビア大学、梨花女子大学など16の大学と交換留学協定を結び、毎年30人ほどを派遣している。国内では早稲田大学と共同大学院を運営。ここでは医学と工学の融合を基盤とした、AI活用の最先端医療技術を学ぶことができる。
一方で教職員教育にも力を注ぐ。その代表的なものは女性医療人キャリア形成センターで、上位職を目指す人材を育成している。ちなみに同校の執行部役の約7割、教授の約3割は女性だ。他の医大では例を見ない。同センターでは出産などを機に離職した女性医師の復帰支援も行う。
丸学長は東大医学部を卒業後、「普通の医者」になりたくて市中病院へ。その後、カリフォルニア大学への留学などを経て研究職の道を歩んだ。就任して2年、生活は一変した。知らなかった世界も多い。ハラスメント規定を作成するために、NPO法人の協議会に自ら足を運んだりもした。現場主義を自負している。 「真面目に取り組まないとおもしろくありません。真面目に取り組むためには人の意見を聞くことです」 丸学長は本気だ。
【大学データ】 住所=東京都新宿区河田町8-1 ☎=03-3353-8111 創立=1900年12月 学生数=1043名 学部=医学部、看護学部 http://www.twmu.ac.jp/univ
『学長インタビュー』は「週刊文春」をはじめ、様々な媒体で当社が独自に取材した注目すべき大学の掲載記事をオンライン版として公開しています。
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